ホーム > .NET > 【書評】.NET 開発テクノロジー入門 Visual Studio 2010 対応版

【書評】.NET 開発テクノロジー入門 Visual Studio 2010 対応版

.NET開発テクノロジー入門 Visual Studio 2010対応版 (MSDNプログラミングシリーズ)

この本は誰のための本だろう?
読み始めた当初はそれがよく分かりませんでした。

章立てを見ると、

1章 .NET Frameworkの概要
2章 ASP.NET(Webアプリケーション)
3章 WPF/Silverlight(リッチクライアント)
4章 WCF(Webサービス、正確にはサービス全般)
5章 Entity Framework(データアクセス)
6章 並列プログラミング

となっています。

これは.NET Frameworkのすべてを薄く網羅した、という内容でもありません。
でてくるサンプルは確かに「入門」書らしい基本的な内容なのですが、記述されている中身は深いところまで詳しく書かれていることが多く、それなりに.NET Frameworkの知識を持った人でないと読みこなせないだろうというところばかりなのです。
なにかチグハグな印象を受けるなあ、と思いながら読み進めていたのでした。

ところがあるとき、ハタ、と気づきます。これはもしかして明確な想定読者のある本なのではないだろうかということに。

私の考えでは、この本はAzure上でこれから開発を行っていく読者に、そこで必要となる要素技術の基礎をきちんと紹介し、Azureをうまく使ってもらうための本、ということになります。

このため、.NET Frameworkの本当の基礎の部分を1章で述べたあとにくるのはASP.NETの話になります。
Azure上のアプリケーションはWebアプリケーションが基本となり、そこでベースとなる動作を司るのはASP.NETですからね。
そこでは一通りのサイトの構築方法に加えて、セキュリティ(認証)の話がきちんと紹介されています。

次に3章でリッチクライアントということでWPFの話になるのですが、ここで実際に記述されている内容はほとんどXAMLの話です。
そしてSilverlightこそがこの章の本命であり、データとの連携(データバインディング)はSilverlightに関して記述されるのです。

4章のWCFの話では、基礎的な話が長々と続くことに違和感を覚えるかもしれません。
実はこの章で最も重要なのは最後に紹介される WCF データサービスと WCF RIA サービスなのです。
Azureを中心にしたデータ連携を考えると、この2つの技術が今後中心となって使われていく技術と考えてよいでしょう。
そのWCFデータサービスとWCF RIA サービスはVisualStudioのサポート(テンプレート)により、たいへん簡単に利用できるようになっています。
あまりに簡単に利用を開始することができるのはいろいろ複雑な部分が隠されているからなのですが、なかなかそのことに気づきません。
そして何かうまくいかないことが起きてはじめて、何をどうすれば問題を解決できるのか、そのとっかかりさえ知らないことに気づいたりします。
この本ではそのような人のために、あえてWCFの基礎/仕組みはどうなっているのかを詳述し、つまづいたときに参考になる情報をまとめてくれているように思えます。

5章のデータアクセスの技術が重要なことは特に言うまでもないことでしょう。
.NET Frameworkはいくつものデータアクセスのための技術を用意していますが、現状ではWCFデータサービス、WCF RIA サービスを使ううえで主にサポートされているのはEntity Frameworkになります。
その観点からも、当然Entity Frameworkの話が中心になります。

最後の並列プログラミングの話は、.NET Framework 4でのトピックとして簡単に紹介されたもののように私には思えます。

さて、こう見てくると、なぜこの本でこれらの技術がピックアップされて、しかもそのなかでWCFに関する章が最も長いのか、それなりにうまく説明できているように見えるのではないでしょうか?

この本にはAzureについての直接の記述はありません。
ですが、Azure上での開発者にとって、どのような技術が使えて、それをどう組み合わせられるのか、そこで何かひっかかったときに参考になる情報はどこにあるのか、そういった貴重な内容がコンパクトに詰まった本がこの「.NET 開発テクノロジー入門」なのだと思います。

話をわかりやすくするためにAzure開発者向け、と書いてきましたが、Azureに限らず、Webがベースとなる環境での開発者にはぜひ読んでほしい本です。
問題を解決するための幅を広げるためのきっかけになると思います。

カテゴリー:.NET
  1. まだコメントはありません。
  1. No trackbacks yet.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。